採用した人材が辞める施設と定着する施設の違い|入職後に起きている「見えない格差」と対策

「やっと採用できたのに、また辞めてしまった…」

「うちと同じ条件なのに、あの施設はなぜ定着するんだろう」

介護施設の経営者として、

こんな悩みを抱えていませんか?

人手不足で悩んでいる施設は、こう考えがちです。

「給与が低いから辞めるんだ」

 「もっと良い人材を採用できれば、定着するはず」

でも、実際はどうでしょうか?

同じような給与・条件でも、

人が定着する施設とすぐ辞める施設があります。

その差は、採用後の「受け入れ方」にあるんです。

本記事では、定着する施設がやっていることと、

すぐ辞める施設が見落としていることを解説します。

目次

「採用できれば終わり」は大きな勘違い

多くの施設が、採用活動に全力を注ぎます。

求人票を作り、面接をして、内定を出す。

「よし、採用できた」

でも、ここで気が抜けてしまう施設がほとんどです。

実は、採用はゴールではなく、スタートです。

入職後の最初の3ヶ月が、定着するかどうかを決めます。

この時期に何をするかで、その後何年働いてくれるかが変わるんです。

すぐ辞める施設がやってしまっていること

「即戦力扱い」で放置している

経験者を採用したとき、こうなっていませんか?

「前の施設でやってたんだから、わかるよね」

「ベテランだから、大丈夫でしょ」

でも、施設によって、ケアの手順もルールも全然違います。

前の施設の「当たり前」が、この施設では「違う」ことだらけ。

それなのに誰も教えてくれない。

「何を聞いていいかもわからない」状態で、1人で業務をこなす。

こうした孤立感が、早期離職につながるんです。

「見て覚えろ」文化がある

介護の世界には、こういう文化が残っています。

「忙しいから、とにかくついてきて」

「見ながら覚えるしかないよ」

「わからないことは、後で聞いて」

でも、新入職員は何がわからないかもわからない状態です。

「後で聞いて」と言われても、誰に何を聞けばいいのか。

こうした環境では、不安が積み重なっていくだけです。

入職後の「最初の一言」がない

初日に施設長や上司から、こんな一言はありましたか?

「わからないことは何でも聞いてね」

「困ったら、すぐ声をかけて」

「一緒に頑張っていきましょう」

この一言があるかないかで、新入職員の安心感は全然違います。

多くの施設では、この「最初の一言」が抜け落ちています。

定着する施設がやっていること

入職前に「不安を取り除く」連絡をしている

内定から入職までの期間、何か連絡していますか?

定着率が高い施設は、入職前に必ず連絡を入れます。

「入職日が近づいてきましたね。何か不安なことはありますか?」

「初日はこういう流れで動きます。事前に確認しておきたいことはありますか?」

この一手間が、入職前の不安を大幅に減らします。

不安を抱えたまま初日を迎えた人と、

不安が解消された状態で初日を迎えた人。

どちらが定着しやすいかは、言うまでもありません。

「担当者」を決めて、孤立させない

入職後、1人の先輩スタッフが新入職員の担当になる仕組みを作っていますか?

「困ったことがあったら、まずAさんに聞いて」

この一言があるだけで、新入職員は安心します。

誰でもいいから相談できる相手がいる。

これだけで、「孤立感」は大幅に減ります。

担当者は特別なスキルが必要ではありません。

「気にかけてくれる人がいる」という事実が大切なんです。

入職後「1週間・1ヶ月・3ヶ月」に必ず声をかける

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定着する施設は、

このタイミングを絶対に外しません。

入職1週間後 

「仕事には慣れてきましたか?」 

「わからないことはありましたか?」

ここで出てくる悩みは、小さなものがほとんどです。 

でも放置すると、大きな不安が生まれます。

入職1ヶ月後 

「業務の流れは把握できてきましたか?」

 「チームに馴染めていますか?」

独り立ちし始める頃に、

プレッシャーを感じやすい時期です。 

この時期のフォローが、3ヶ月離職を防ぎます。

入職3ヶ月後 

「この施設で続けていけそうですか?」

 「今後どんなことにチャレンジしたいですか?」

「続けよう」という気持ちを引き出す会話が大切です。

 ここで将来の話ができると、長期定着につながります。

「できていること」を具体的に伝える

新入職員は、自分の仕事が正しいのかどうか不安です。

「これで合っているのかな」

「迷惑をかけていないかな」

こうした不安を解消するのが、フィードバックです。

効果的なフィードバックの例

「昨日の入浴介助、

 利用者さんが気持ちよさそうにしていたね」

「記録の書き方、すごく丁寧だったよ」

「あの場面、うまく対応できていたと思う」

できていないことを指摘するより、できていることを伝える。

この習慣が、新入職員の自信につながります。

見落としがちな「定着の分岐点」

最初の「小さな失敗」への対応で決まる

入職して間もない頃、誰でも小さなミスをします。

このときの上司の反応で、その後が変わります。

「なんでそんなこともできないの」

この一言で、新入職員は萎縮します。

「もう二度と失敗できない」というプレッシャーが生まれます。

そして、萎縮した状態で働き続けることに疲れて、

辞めていくんです。

反対に、

「大丈夫。次はこうすればいいよ」

この一言があれば、安心して次に進めます。

失敗への対応ひとつで、定着が決まることがあるんです。

「施設の理念」が現場に浸透しているか

「利用者さん第一」という理念を掲げている施設は多い。

でも、現場では効率優先で、

利用者さんとゆっくり関わる時間がない。

新入職員は、この矛盾に気づきます。

「理念と実態が違う」

この違和感が、離職の引き金になることがあります。

理念が現場に浸透している施設は、こう違います。

「今日〇〇さんが笑顔で話してくれた」という話が、

日常会話に出てくる。

業務の判断軸が「利用者さんにとってどうか」になっている。

こうした施設では、新入職員も自然と同じ価値観を持つようになります。

今日からできる「定着を高める3つの行動」

入職から3ヶ月間のフォロースケジュールを作る

「1週間後に声をかける」「1ヶ月後に面談する」

これをあらかじめカレンダーに入れておきましょう。

「忙しくてフォローを忘れた」では、遅いんです。

担当の先輩スタッフを必ず決める

「困ったときは誰に聞けばいいか」を明確にする。

これだけで、新入職員の不安は大きく減ります。

毎日1回、できていることを声に出して伝える

「昨日のあの対応、よかったよ」

この一言を、意識して伝える習慣を作りましょう。

特別なことは必要ありません。

気づいたことを、その日のうちに伝える。

ただそれだけです。

採用と定着は、セットで考える

人が定着しない施設は、

採用活動に膨大なコストをかけ続けます。

せっかく採用しても、すぐに辞めてしまうから。

でも、入職後のフォローを丁寧にするだけで、

その循環を断ち切れます。

採用にかけるコストの一部を、定着の仕組みづくりに使う。

これだけで、長期的には採用コストは大幅に下がります。

ただ、定着の仕組みを整えるためには、

まず「自分たちの施設の魅力」を言語化することが必要です。

どんな人に来てほしいのか。

 入職後、どんな環境を提供できるのか。 どんなキャリアを一緒に歩めるのか。

この「施設の言葉」を持っていない限り、採用も定着も改善しません。

紹介会社に頼るだけでなく、自分たちの言葉で求職者に伝える。

採用と定着を両立させるには、その仕組みをつくることが近道です。

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