「やっとPTを採用できたのに、1年で辞めてしまった…」
「OTの求人を出しても、全然応募が来ない」
介護施設の経営者として、こんな悩みを抱えていませんか?
リハビリ職の採用に悩む施設は、こう考えがちです。
「病院より給与が低いから、来ないんだ」
「紹介会社に頼めば、何とかなるはず」
でも、実際はどうでしょうか?
給与を上げても、紹介会社に頼み続けても、
リハビリ職が定着しない施設があります。
なぜなら、リハビリ職が辞める本当の理由は、給与だけではないからです。
本記事では、介護施設でリハビリ職が定着しない構造的な問題と、
採用と定着を両立するための組織づくりを解説します。
「給与が低いから来ない」は思い込み

「病院よりも給与が低い介護施設に、PT・OTは来ない」
そう諦めていませんか?
実は、介護施設への転職を考えているリハビリ職は、
給与だけで施設を選んでいません。
リハビリ職が介護施設に転職を考える本音
「病院の業務量に疲れた。もう少し余裕を持って働きたい」
→ 給与より、働き方のゆとりを求めている
「患者さんの生活を継続的に支えたい」
→ 退院後の生活まで関われる介護施設に魅力を感じている
「チームで利用者を支える仕事がしたい」
→ 介護職との連携に可能性を感じている
「地域に根ざした仕事がしたい」
→ 病院では関われなかった生活リハビリに興味がある
つまり、介護施設に転職を考えるリハビリ職は、
すでに給与以外の価値を求めているんです。
給与と待遇だけをアピールしても、刺さらないんです。
リハビリ職が定着しない「見えない理由」

リハビリ職の「役割」が施設内で曖昧
介護施設でリハビリ職が孤立するケースの多くは、
「何をすればいいかわからない」という状況から始まります。
「機能訓練指導員として入ったのに、
気づいたら入浴介助もやっている」
「リハビリの計画を立てても、介護職に共有されない」
役割が曖昧なまま業務が進むと、
リハビリ職は専門性を発揮できずに
「この施設にいる意味があるのか」という疑問を持ち始めます。
介護職との「壁」が生まれやすい
看護師と介護職の関係と同様に、
リハビリ職と介護職の間にも「壁」が生まれやすいんです。
リハビリ職と介護職の間に起きやすい摩擦
「リハビリは、現場のことを分かっていない」と思われる
「介護職に歩行訓練の意図を説明しても、実際のケアに活かされない」
こうした摩擦が積み重なると、
リハビリ職は施設内で孤立していきます。
孤立したリハビリ職は、
「ここでは自分の専門性を活かせない」と判断して辞めていくんです。
スキルアップの機会が「病院より少ない」と感じる
リハビリ職の多くは、専門性への高い意識を持っています。
介護施設では、急性期の症例が少ない、
最新の機器がない、学術的な研修機会が少ない。
こうした環境で「スキルが錆びていくのでは」という不安を感じます。
特に若手のリハビリ職は、
キャリアの初期段階で専門性を高めたいと考えています。
「ここにいると、PTとしての成長が止まる」
そう感じたとき、病院への転職を考え始めます。
見落としがちな「リハビリ職離職のパターン」

1人体制のプレッシャーが蓄積する
介護施設のリハビリ職は、多くの場合1〜2名の少人数です。
施設内に相談できる同職種がいない状態で、
すべての判断を1人で下さなければいけない。
「この利用者さんの機能訓練計画、これで本当に合っているのか」
「急変時に適切に対応できるか不安」
こうした孤独な状況が、じわじわとストレスになります。
「入職1年・3年」が離職のピーク
リハビリ職の離職タイミングには、パターンがあります。
入職1年:ギャップに気づく
病院との違いに慣れてきた頃、
「このままでいいのか」と感じ始めます。
施設内での役割が不明確だと、この時期に離職を決意します。
入職3年:キャリアの分岐点
「このまま介護施設にいるべきか、病院に戻るべきか」を考える時期です。
成長実感が持てない施設では、病院復帰を選びます。
この2つのタイミングで、丁寧なフォローをすることが大切です。
リハビリ職の採用と定着を両立する組織づくり

リハビリ職の役割を明文化する
入職前に、役割と責任範囲を明確にしましょう。
明文化すべき内容
- 機能訓練指導員としての業務範囲
- 介護職との連携方法
- 月次の訓練計画の作成と共有方法
- 多職種カンファレンスでの役割
- 介護業務をどこまで担うか
「何をすればいいか分かる」状態が、リハビリ職の安心感につながります。
介護職との連携を仕組み化する
リハビリ職と介護職の連携を、
個人の関係性に頼らない仕組みにしましょう。
連携の仕組み例
- 週1回の多職種ミーティングで訓練内容を共有
- 「この利用者さんの生活リハビリポイント」をケアプランに明記
- リハビリ職が介護職向けに月1回勉強会を開く
- 介護職からのリハビリへのフィードバックルートを作る
仕組みがあれば、「リハビリ職と介護職の壁」は薄くなります。
スキルアップの機会を意識的に作る
介護施設でも、専門性を高められる環境を整えましょう。
スキルアップ支援の例
- 外部研修への参加費補助
- 学会発表のサポート
- 認定理学療法士など資格取得の支援
- 他施設のリハビリ職との情報交換会
- オンライン勉強会への参加推奨
「この施設にいても、専門職として成長できる」
そう感じてもらえれば、定着率は上がります。
採用基準を「介護施設向け」に変える
病院経験者であれば誰でもいい、という採用基準をやめましょう。
介護施設のリハビリ職に向いている人
- 生活リハビリに興味がある
- 多職種連携を楽しめる
- 長期的な関わりにやりがいを感じる
- 1人体制でも自律的に動ける
- 介護職と対等に関わる姿勢がある
この基準で採用すれば、入職後のミスマッチが減ります。
採用と定着は、組織体制が決める

リハビリ職の採用難・定着難は、
給与の問題だけではありません。
役割が曖昧、介護職との連携が機能していない、
スキルアップの機会がない。
こうした組織的な問題が、リハビリ職を施設から遠ざけているんです。
逆に言えば、組織体制を整えることで、
給与が多少低くても選ばれる施設になれます。
リハビリ職の役割を明文化する、
介護職との連携を仕組み化する、スキルアップを支援する。
採用コストを下げながら定着率を上げる、最も確実な方法です。
紹介会社に頼り続ける前に、
まず「この施設でリハビリ職が活躍できる環境があるか」を見直してみませんか?
その答えが、採用と定着を同時に改善するための出発点になります。

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